住宅間取り

住宅間取り

右奥手は「なんど」寝室(十畳)
左奥手は「なかのま」接客室(七畳半)、「ぶつま」座敷(七畳半)
さらに一段高くなって「仏壇の間」

  • 仏間(上段の間)

    「にわ」の奥は「おえ」と呼ばれる約三十畳の板の間で、古い民家には珍しく高い床が張られている。この「おえ」と「にわ」の間に板壁が建てられ、下部には鈎の手に囲いがある。また、この境にある太い栗の柱には荒々しい手斧の刃跡がみられ、囲炉裏のすすで覆われた木の肌は歴史の重みを感じさせる。江戸初期の時代の一般民家は土間と床張りの二間で畳はないのに比較すると建築年代が古いにも拘らず、「仏壇の間」「なかのま」「なんど」の三室にも畳が用いられているのは、この家の格式の高さを物語っている。

屋根

屋根は茅葺きで角屋が前後に二つあり、その古さに相応して軒が低く、重量感に満ちている。形は格別複雑と言うほどではないが、正面の破風と二つの角屋の破風を入母屋破風とするのに対し、主屋背面を寄棟とするなど変化に富んでいる。
 「正面を入母屋、背面を寄棟とする」三つの入母屋破風は、いずれも木連格子を入れた前方に大きくのび、棟も先端近くで猫の背のように丸くむくっている。主屋正面の破風はその大きさ、転び、むくりとも格別で、破風の厚さともあいまって独特の優美さと迫力を出している。

  • 流し場

    正面から入ると「にわ」と呼ばれる土間があり、笏谷石をくりぬいて作られた水槽が壁を貫いて置かれ、裏山から谷水を引き、いつでも水が使えるように工夫されている。

  • 股柱

    この家の特徴の一つに股柱が使われていることが挙げられる。股柱というのは、頂部が二股に分かれた柱で、一方の枝を短く切って側桁を支え、他方を斜め上に伸ばして上屋桁を受けてるもの。つまり一本の柱で上屋柱の二本の役割をもたせたものである。